- 心理学検定って意味ある?
- 大学進学や就活で有利になるの?
- どうやって勉強すれば受かるの?
このような悩みを少しでも持っている方は, この記事を最後まで読むことをオススメします!
この夏に行われた心理学検定で、
【特1級】を取得することが出来ました!
心理学検定とは?
【心理学検定】とは普段あまり聞きなれない言葉かもしれませんね。
内容としては、主に基礎心理学・臨床心理学・その他各領域についての知識が問われます。
詳しい内容について箇条書きにしてまとめていきます。
- 心理学を専攻していなくとも受験可能
- 全10科目に分類されており, 1科目から得意な科目を選べる
- 試験問題は1科目20問から構成されており, 全て4択問題
- 一度取得した科目は、5年間継続される積み上げ式
- 一度取得した級は、更新の必要ナシ
その他、更に詳しい内容や申し込み方法などを知りたい方は、↓の公式HPにアクセスしてみてください!
過去の合格率について
参考までに2021年夏に実施された第14回心理学検定の結果をご紹介します。(第13回は中止)
年々受験者数は増加傾向にあります。
総受験者数:4214人
2級合格者数:1582人(約38%)
1級合格者数:968人(約23%)
特1級合格者数:400人(約9%)
心理学検定公式HP(https://jupaken.jp/wp/wp-content/uploads/2021/10/outline14.pdf)
全10科目の内容について
全10科目は, 前半5科目と後半5科目に分かれ, それぞれA領域, B領域と呼ばれています。
A領域 | 原理・研究法・歴史 | 学習・認知・知覚 | 発達・教育 | 社会・感情・性格 | 臨床・障害 |
B領域 | 神経・生理 | 統計・測定・評価 | 産業・組織 | 健康・福祉 | 犯罪・非行 |
①原理・研究法・歴史
主に「心理学とは何か?」「心理学の研究方法」「心理学の歴史」について問われます。
とは言っても具体的にどんなことが出題されるの??
詳しくは後半に紹介する参考書などに書かれていますが、簡単にまとめます。
- 実験法・調査法・観察法・検査法・面接法についての知識
- 信頼性と妥当性について(係数を算出する方法も)
- デブリーフィングなどの心理学研究におけるマナー
- 精神物理学・精神分析・行動主義・ゲシュタルト心理学などの歴史
- 発達心理学・臨床心理学などの基礎知識
- 日本の心理学における歴史
こちらの本と一緒に読み込んでいくと、より知識が定着しやすいと思います。
② 学習・認知・知覚
主に「人間の学習過程」「記憶・認知・遂行機能」「視覚や聴覚のつくりと働き」について問われます。
心理学を勉強している人なら聞いたことある用語も多いかも?
こちらについても簡単にまとめていきます。参考までに。
- オペラント条件づけ・レスポンデント条件付け
- 系統的脱感作法・フラッディングなどの行動療法の用語
- 強化スケジュール・強化と弱化についての知識
- 記憶の三過程・記憶の種類
- 気分一致効果や気分状態依存効果などの記憶と感情についての知識
- 視覚や聴覚についてのからだのつくり
- 明るさや色、注意、錯視などについての知識
③ 発達・教育
主に「人間の発達過程」「子供の発達」「発達検査」「心理学的発達理論」について問われます。
「心の理論」とか「ピアジェ」とかお馴染みのコーナーだね。
自分の発達についても客観的に学べるので、比較的取っ掛かりやすいのではないでしょうか。
出題される大まかな内容を箇条書きでまとめていきます。
- ピアジェの発達段階理論・ウィゴツキーとの対立
- 心の理論・誤信念課題
- 田中ビネー式発達検査・K-ABCⅡ・新版K式発達検査などの知識
- 臨界期や初期学習
- ASDやADHDをはじめとする発達障害についての知識
- 思春期・青年期・不登校や非行
- 動機づけ・学習性無力感など
こちらの本にも基本的なことから丁寧に書かれていますので、かなりオススメです。
④ 社会・感情・性格
主に「社会生活における認知や行動」「パーソナリティ」「他者の影響」について問われます。
世間一般的とされている思考や行動も、心理学的には名称があったりと個人的には関心のある領域です。
何気ない他人へ向ける思考や行動が
「○○効果」「○○バイアス」とか名付けられてるのすごいよね。
世間的に「心理学っぽい」と思われるような内容が多いので、楽しく学べると思います。
こちらについても、出題されるであろう用語について大まかにまとめていきます。
- 社会的促進や社会的手抜きを始めとする社会的行動
- フットインザドア法やドアインザフェイス法
- 物事の帰属過程
- 偏見やステレオタイプ
- 協調・競争・援助やサポート(例)「傍観者効果」
- パーソナリティ検査法とパーソナリティ理論
- ジェームズランゲ説やキャノンバード説などの感情における理論
その他、書ききれないほど様々な要素があるので、適宜参考書などで確認してみてください。
⑤ 臨床・障害
主に「心理学的理論」や「発達障害・精神障害」「心理検査」などの知識が問われます。
行動療法や認知行動療法、精神分析療法など聞き馴染みのある単語も多いはず。
個人的には一番点が取りやすい領域だと感じました!
大学の授業や基本的な心理学の参考書でもかなり知識が得られると思います。
- 精神分析の理論や技法
- 行動療法や認知行動療法の詳しい技法(例)シェイピング
- 人間性心理学の歴史、クライエントの3要素(ロジャース)
- 性格検査、知能検査の詳しい検査名称
- 日本で開発された心理療法や心理検査
- 信頼性と妥当性の算出方法
- DSM5に記載されている症状や障害の知識
大学で使用されている方も多いかもしれませんが、こちらの本が大変参考になります。
⑥神経・生理
主に「脳の構造」「ホルモン」「自律神経系」「睡眠」「脳機能測定法」などの知識が問われます。
個人的に「一番苦手」でした…。医学的過ぎて難しい。
大脳や小脳の位置、それがもたらす機能など、覚え始めるとキリがないと感じました。
自分は、最低限に場所と主な機能を覚え、あとはひたすら練習問題をこなしました。
大学で購入した神経心理学や生理心理学の参考書などもボリューミーでしたが読みました…。
ひとまず、とっかかりやすく出題されそうなキーワードをまとめていきます。
- 大脳基底核や大脳辺縁系の機能・構成要素
- ブローカ野やウェルニッケ野の機能
- 神経細胞の構成要素と機能
- 神経伝達物質の詳しい名称
- ホルモンの種類と身体にもたらす影響
- 交感神経系と副交感神経系の機能
- 睡眠の5段階
一通り勉強してみて感じたことは、「全部を覚えようとしすぎない」ことかもしれません…笑
非情に勉強になった本はこちらです。よろしければチェックしてみてください。
⑦統計・測定・評価
主に「心理統計」に対する全般的な要素が出題されます。
心理学を専攻している大学生は、レポートや卒論でも使う知識ですね
「平均値」といった基本的なものから、「重回帰分析」などの専門的な統計用語まで幅広いです。
本番中も紙とペンが用意され、20問中2.3問は簡単な計算が必要になる問題もありました。
- 「平均値」「中央値」「代表値」などの基本的統計知識
- 相関係数についての知識
- 相関分析やt検定、分散分析、回帰分析、因子分析などの知識
- 構造方程式モデリングについての知識
- 心理テストにおける信頼性と妥当性の更に詳しい内容
- 名義尺度・間隔尺度・順序尺度・名義尺度の内容
- 心理学的検査の種類とその特徴
心理統計に関しては、こちらの学術書が非常に参考になりました。
⑧産業・組織
主に「産業領域における心理学理論」について詳しく問われる領域になります。
実際に会社や組織で活用されている理論も多く、
普段あまり意識しないような、様々な視点が得られます。
近年、話題になっているストレス関連の内容も多いですね。
詳しい出題内容は以下を参考にしてみてください。
- メンタルヘルスに関する知識
- ストレスコーピング
- 産業カウンセリング(一次予防・二次予防・三次予防)
- テイラーやメイヨーなどの産業心理学者についての内容
- 社会への動機づけ(例)マズローの欲求階層説
- 消費者の心理的側面
- 広告における心理学的観点(例)段階的要請法など
- 組織における事故(例)ハインリッヒの法則
こちらの参考書を活用して学習を深めるのもオススメです!
⑨健康・福祉
主に「メンタルヘルス」や「障害福祉」に関する詳しい知識が問われます。
⑤や⑧と被る部分もあるので、勉強は効率的に出来るかも?
選択問題を見ると日常的な知識で解けそうなのですが、実は奥が深いんです…。
障害者基本法などの様々な福祉関連の制度もこの機会に深く学ぶことが出来ます!
- 闘争逃走反応や汎適応症候群などのストレス理論
- タイプA行動パターンなどの生活習慣病になりやすい性質
- ソーシャルサポートに関する知識
- ポジティブ心理学に関する知識
- ワークエンゲージメントに関する知識
- 福祉施設の名称とそれぞれの機能
- エンパワメントやハーディネスに関する知識
⑩犯罪・非行
主に「犯罪統計」や「犯罪者のパーソナリティ」「少年院を始めとする刑事施設の知識」についての内容です。
犯罪白書から犯罪の発生率なども出題されたので
個人的にやや難易度高めのイメージ…・
犯罪の種類を新たに知れたり、今の日本の犯罪動向を再確認することが出来たりとメリットも◎
「このくらいの割合かなあ」と感覚で答えると案外間違えるので、かなり読み込んでおく必要があります。
- 警察白書や犯罪白書に記載されている犯罪動向
- 窃盗や性犯罪、少年犯罪、殺人など種類別の詳しい内容
- 犯罪が発生する心理学的理論
- 犯罪を犯した人に対するアセスメント
- 家庭裁判所や少年院などがどのような機能を持っているか
- プロファイリングやポリグラフ検査の知識
更なる詳しい出題内容についてはこちらの参考書をご覧ください。
心理学検定のメリットとは?
それでは、実際に心理学検定を取得するメリットはあるのでしょうか。
- あまり知名度が高くないような気がする…。
- 他の検定と比較して、あまり実用的ではないのでは?
- 心理学を専攻していないから取得しても意味がない?
このような悩みについて全2回検定を受け、【特1級】を取得した筆者がお答えします。
結論は、
- 心理学を専攻している人は取得するべき
- 人の心や心理学に関心がある人にオススメ
- 就活で活用したいと考える人は、余裕があれば取得しましょう
となります。それぞれ詳しく説明していきます。
①心理学を専攻している人は取得するべき
やはり心理学専攻者は級を問わず取得しておくべきだと考えます。
そのまま就職をする方も、心理学専攻という名目は残り続けます。
そこに【心理学検定】がプラスされると、
どの環境でも少なからず良いイメージを与えられるのではと思います。
そして公認心理師や臨床心理士を目指す方は、間違いなく自分の能力の証明になります。
なので、これから心理学専攻を希望する高校生も、是非積極的にチャレンジしてみてください!
テキストと問題集は用意されているので、
ひとまずはそれをやるだけで大丈夫だよ!
②人の心や心理学に関心がある人にオススメ
全10科目、幅広く心理学の内容を学ぶことが出来るのが【心理学検定】です。
その中には社会で実際に活用できる理論や、人とのコミュニケーションで活用できる用語もあります。
更には医療・福祉・教育・産業・司法分野に対する基礎的な知識も身につきます。
これらはどこの環境でも持っていて損のない知識だと思います。
もちろん、現在は心理学を面白く学べる漫画なども販売されています。
そちらで心理学を学ぶのも良いと思いますが、
一歩踏み込んで検定の取得にチャレンジするのも良いですよね!
誰でも自由に受けられるのが心理学検定の良い点でもあります。
③就活で活用したいと考える人は、余裕があれば取得がオススメ
先ほども説明しましたが、心理学検定=心理学の精通者ではありません。
しかし、心理学検定を持っていれば以下のような印象を与えることが出来そうですよね。
- 物事に対して深く考えることが出来る人
- 相手の気持ちに寄り添える人
- 柔軟な思考が出来る人
- 優しくて気配りが上手な人
- 冷静に自身を客観視することが出来る人
【心理学検定】は、何か目に見える特技や能力には繋がりづらい一面があります。
そこに対して懸念している方もいるかもしれませんが、悪いイメージは与えないと思います。
もちろん、心理学検定よりも優先して取得すべきものはあると思いますので、
余裕がある状態でのチャレンジをオススメします。(笑)
心理学検定の勉強法
では実際にどのように勉強すればよいのでしょうか。
以下は筆者が【特1級】を取得出来た個人的な方法になります。参考までに。
使用した参考書(一部)
一部ではありますが、主に使用した参考書をご紹介します。
心理学検定の公式から発売されている以下の4つはかなりオススメです。
- 基本キーワード集
- 公式問題集(各年度発売中)
- 一問一答-A領域
- 一問一答-B領域
ですがその中で感じたのは、【基本キーワード】の内容がそのまま出題されるわけではないということです。
そのキーワードから派生した内容の出題が数多く、中には書かれていない問題もあったりします。
なので心理学の基礎知識を得られる本(心理学第5版)やよくわかる臨床心理学などで知識を補填しました。
勉強の流れ
合格に最も近い参考書は【心理学検定 基本キーワード集】です。
領域ごとに分かれているので、計画的に学習もしやすいです。
始めの頃は、1週間に1領域をこなすペースを続けていました。
移動時間などの隙間時間は、片手サイズのこちらがオススメです。
赤シートで隠しながら、基本キーワード集と対応した要点を学習できます。
A領域とB領域で1冊ずつ購入しなければならないのが難点ですかね…。
そして、公式問題集を使って、実際に問題を解きます。
2017年・2018年・2019年・2020年度版が発売されていますが、ほぼ問題は同じなので一冊持っていれば十分です。
全10領域の問題が詰まっているので、問題数は多いです。
しかし、1領域あたりの問題は限られるので、もう少しそれぞれの問題数を増やしてほしい印象。
一度、問題を解いてみて足りない知識や分からなかった問題をまとめていきます。
自分は【グーグルドキュメント】を使ってまとめていました。(手書き苦手…。)
まだ不足している領域の知識や、苦手な領域については別途に参考書を用意するのがオススメ。
統計が苦手ならば、【よくわかる心理統計】などの基礎的な本を。
心理学の全般を更に理解したいならば、【心理学第5版】などがオススメ。
年一回しか開催されないので、計画的な勉強を!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では以下のトピックスについてご紹介しました。
- 心理学検定の特徴と内容
- 心理学検定のメリット
- 心理学検定の勉強方法
まだ受験者数は少ないですが、年々増加傾向にあります。
心理学も徐々に人気になっているので、気になる方は是非早めの受験を!